ランニングで多い障害①
症例集
脛骨過労性骨膜炎 シンスプリント
シンスプリントは、ランニング初心者が陥りやすいランナー障害の一つです。医学的名称は、「脛骨過労性骨膜炎(けいこつかろうせいこつまくえん)」。スネの骨(脛骨)にくっ付いている骨膜が炎症している状態です。
下腿(膝から足首までの部分)には、脛骨(スネと呼ばれてる太い骨)と腓骨(外側にある細い骨)の2本の骨がありこれらの骨には足首や足の指を動かすいろいろな筋肉が付いています。ランニングやジャンプ動作などで筋肉を収縮させるとそのストレスは骨から引きはがすようなストレスとして骨膜にも伝わります。
筋肉の柔軟性が落ちていたり、偏平足など筋肉の緊張が高まっているような要因があるとそのストレスは高くなります。
症状
シンスプリントは、下腿の下1/3あたりの内側、くるぶしの上あたりに、慢性的な鈍い痛みを感じます。始めは、走っている間の不快感から始まりますが、激しい痛みでは無いので我慢すれば走れてしまいます。それが原因でさらに悪化していきます。
左足の骨模型。
痛みや腫れを放置したままスポーツを続けると、重症化して「疲労骨折」となることもあります。
原因
走り込みなんども足の筋肉を収縮させることで下腿の骨膜を引っ張り、炎症が起こることが原因とされています。扁平足といい足のアーチが低かったり、硬いコンクリートを走っていたりすると、シンスプリントに陥りやすいです。
1,長く走る・ジャンプが多いスポーツを行っている
2,中高生(特に新人選手) 中高生になると、急に練習がハードになってくることから、特に新人選手(新入生)の発症が多く見られます。
このことから、シンスプリントは「初心者病」とも呼ばれています。
3,急に激しい運動を再開した成人。久しぶりに運動を再開した人の場合、くるぶしなど足関節の柔軟性が低いことや下腿(膝からくるぶしまで)の筋力不足もあり、トレーニングの疲労が 蓄積した頃にシンスプリントを発症しやすくなります。
4.シーズン初期の競技者
5.足のアライメント(骨や関節の形)に異常がある。偏平足・回内足(シューズの内側がすり減る)などの足のアライメント(形)に異常がある人は、すね周りの筋肉に過剰な負担がかかるので、炎症を起こしやすく、シンスプリントの発症リスクが高くなります。
いずれの場合もシンスプリントは“長く走るスポーツ”をする人に起こりやすく、陸上競技以外にも多くなっています。
- 足の疲労による衝撃緩衝機能の低下
- 固いグラウンドや路面、平たんではない道路での練習
- すり減ったかかとやクッション性の悪いシューズの使用
シンスプリントの対処方
シンスプリントはスポーツによる過労性障害なので、基本的には「患部を休めること(保存治療)」が治療の中心となります。
まずは、患部の安静を図りましょう。
軽傷であれば安静にしているだけで、ほとんどが改善します。
- 症状悪化および慢性化を防ぐために、運動量を減らす
- 運動前後のアイシング(氷水で患部を冷やす)
- ストレッチやマッサージで筋肉をほぐす
- 足底板(インソール・靴の中敷き)の使用。土踏まずの縦アーチ保持が、足の衝撃軽減に繋がる。
- クッション性の良いシューズの使用
- 柔らかい地面
シンスプリントの予防
シンスプリントに限らずスポーツ障害はある程度予防が出来ます。特に運動を始めたばかりの人は特に注意しましょう。ある程度どのような運動をすれば、どの筋肉が疲労を起こしやすいかは分かるので体のケアをしっかりすることが大事です。ストレッチ、アイシング、マッサージ等で疲労を蓄積させないようにしましょう。
特に後脛骨筋(こうけいこつきん)、ヒラメ筋は注意してほぐします。
運動を行うときは、トレーニング・休息(ケア)・栄養補給をセットにして考えましょう。