膝の痛み
症例集
膝の痛みに悩まされている方は多いと思います。寒さの厳しいこの時期、中高年になると特に多いと思います。当院に通院されている方にもいらっしゃいます。
膝関節のしくみ
膝の関節は、太ももの骨と足のスネにある骨、一般的に「膝の皿」と呼ばれている骨で構成されています。骨と骨の接合部分が浅いため、不安定になりがちですが、周囲にある筋肉や腱、靭帯などが関節の安定性を保つ役割を果たしています。
また、膝関節で最も重要な役割を果たしているのが、膝関節軟骨や半月板です。膝関節軟骨は少しずつ消耗し、一度磨耗したら元に戻りません。半月板はひどいと断裂したりします。筋力が衰えると負担が大きくなり磨耗を早めてしまい、膝の痛みの原因になります。
施術
71歳 女性。昨年9月に腰と膝の痛みで来院。整形外科で半月板損傷と診断され手術も考えている。週に2回の鍼灸治療で特別に不自由な事は無いが痛みはある。
当院で出来ることは痛みの緩和と運動療法。こちらの患者さんは自分の足でよく歩いて、行動範囲も広いです。その為、疲労から痛みを起こしている事が多いです。
鍼灸治療としては、特に腰から下の血流改善と筋緊張の緩和です。膝関節の安定性を保つために、膝を治療するときには太ももの前と後ろの筋肉、ふくらはぎとスネの横の筋肉を主に考えます。この筋肉が弱かったり、疲労していたりすると膝関節が不安定になり膝の痛みが出やすいのです。
膝を支える筋肉のストレッチ
ストレッチも上記で説明した筋肉を中心に伸ばしていきます。ゆっくりと無理なく伸ばしてもらうストレッチは、余計な力が入らないので効率よく伸ばせます。どうしても自分で伸ばそうとすると力が入ってしまいます。リラックスした状態で行うストレッチはとても心地良いです。
・太ももの前の筋肉ストレッチ
・太ももの後ろの筋肉ストレッチ
・スネの横の筋肉ストレッチ
・ふくらはぎの筋肉ストレッチ
膝の周りにある筋肉を鍛える
・太ももの前にある筋肉です。4つの筋肉で構成されています。膝の曲げ伸ばしをする際に、重要な役割を担っています。
・スネの横にある筋肉です。つま先を上げる時に働きます。疲労等で歩行中につま先をひっかけたり、つまづいりする原因になります。
・ふくらはぎを構成する筋肉のひとつです。かかとを上げます。
膝関節の安定性を保つため、膝の周りの筋肉はとても大切です。だからといってがむしゃらに頑張ってもケガや逆に痛みをおこしてしまいます。運動経験や年齢等に合った無理のない運動から始めます。膝周りの筋肉をしっかり鍛えて、膝への負担を軽減しましょう。
治療をしていてよくお話をするのですが、ストレッチと筋力トレーニングは目的が違います。
・ストレッチは緊張状態が続いている(疲労して硬くなっている)筋肉を弛緩させ、緩和させてあげることによって、血液の流れが良くなり筋肉に溜まった老廃物も除去され、疲労回復の効果を目的とします。
・筋力トレーニングは筋力を向上させることを目的に行われます。筋力トレーニングは、若者が行うイメージがありますが、その重要性はむしろ高齢者にあるといえます。
ストレッチ=体のケア
筋力トレーニング=筋力の向上
両方とも大事なことなのですが、日常生活の中でこのための時間を作るのは結構大変です。治療中や後に行ったり、普段の生活で行っている事の意識を変えることで出来ることもあります。そういったアドバイスもさせて頂いています。